米国食品医薬品局(FDA)
免疫療法が直腸を救う
免疫療法によって、直腸がん患者の一部は、抗がん剤、放射線療法、手術を始めずに臓器の機能を保てる可能性がある。ただし、その効果が長期にわたって続く場合に限る。米国食品医薬品局(FDA)の承認は、特定の腫瘍を持ち、ドスタルリマブによる治療を受けた154人の患者の結果に基づくものだ。大腸・直腸の診療科では、長期追跡によって再発が早期に見つかることが確認されれば、ストーマ造設手術や骨盤への放射線療法ではなく、点滴治療と頻繁な検査について話すことになるかもしれない。
局所進行直腸がんのほとんどの患者にとって、治療への道は3つの大きな段階から始まる。抗がん剤、放射線療法、手術だ。これらは命を救う一方で、腸、尿路、性機能に永続的な問題を残したり、生殖能力に影響を与えたり、永久的なストーマが必要になったりすることもある。そのため、見出しの約束はまだ日常になっていない。対象となるのは少数の患者であり、治療がどのくらいの期間がんから守るのかも、まだ明らかではない。
なぜ特定の腫瘍だけなのか
FDAの承認対象は、これまで治療を受けていない、ステージIIまたはIIIの局所進行直腸がんの成人だ。腫瘍には特定の性質がなければならない。DNAミスマッチ修復機構欠損(dMMR)またはマイクロサテライト不安定性高値(MSI-H)であることだ。これは、がん細胞がDNAに多くのエラーを蓄積していることを意味する。その場合、免疫系ががん細胞を見つけやすくなる可能性がある。
この性質は、FDAが承認した検査で確認しなければならない。公表されている推計によれば、局所進行直腸がんの約3%がこのグループに属する。つまり、直腸がん患者全員に対する新しい治療ではなく、腫瘍がこの生物学的性質を持つ患者を対象とする治療だ。
免疫系には通常、体を絶えず攻撃しないようにするブレーキがある。腫瘍はこのブレーキを利用して攻撃を逃れることがある。ジェンペルリの製品名で販売されているドスタルリマブは、PD-1阻害薬だ。ブレーキを緩め、免疫細胞が腫瘍を攻撃しやすくする。
完全奏効とは、用いられた検査でがんが見つからなくなることを意味する。それだけで、すべてのがん細胞が消えたことを証明するわけではない。医師が手術を見送ることを検討する際には、この違いが重要になる。
3つの治療に代わる1つの治療
FDAは今回、このグループに対する最初の治療として、ドスタルリマブ単独療法を条件付きで迅速承認した。決定は、154人の患者が6か月間に最大9回の投与を受けた第2相試験AZUR-1の中間結果に基づく。
追跡期間の中央値が2年を超えた時点で、ほぼ4分の3の患者は手術、放射線療法、化学療法を必要としていなかった。これらの患者にとって、免疫療法は通常の3段階の治療に先立つ選択肢になった。これにより、まず腫瘍を切除したり放射線を照射したりするのではなく、臓器を温存する治療を試せるようになった。
しかし、この結果は手術が不要になったことを意味しない。完全奏効の後に手術を見送るには、頻繁な検査が必要だ。がんが局所的に再発した場合、救済治療がまだ可能なうちに見つけなければならない。
FDAは、奏効がどのくらい続くのか、また病気がどの程度の頻度で再発するのかを明らかにするには、より長期の追跡が必要だとしている。以前に50人の患者を対象に行われた研究でも、同様に期待を抱かせるものの、まだ最終的な結論ではない結果が出ている。治療後、がんの検出可能な兆候があった患者は1人もおらず、93%が少なくとも12か月にわたってその状態を保った。少なくとも3年間追跡された27人の患者のうち、1人は同じ場所で再発した。
効果が続くなら変わる日常
大腸・直腸の診療科では、まず腫瘍検査から話が始まることになるだろう。腫瘍がdMMRまたはMSI-Hであれば、患者はすぐにストーマ造設手術と骨盤への放射線療法を計画する代わりに、点滴治療を受け、その後、厳密な経過観察を受けられる。効果が長期にわたって続く患者にとっては、直腸の機能を保ち、長期的な影響をもたらす治療を先送りしたり避けたりできることを意味する可能性がある。
医療に求められる能力も変わることになる。検査室は、適切な腫瘍を見つけられなければならない。医療提供者は患者を頻繁に追跡し、局所再発を早期に見つけなければならない。そのため、迅速承認では、長期的な臨床的利益を示すために、スポンサーが患者の追跡を続けることが求められる。
さらに、ドスタルリマブによって免疫系が健康な臓器や組織を攻撃することもある。こうした反応は重症化したり、死に至ったりする可能性がある。一般的な副作用は、疲労、発疹、下痢、かゆみだ。つまり、この治療は手術や放射線療法による永続的な影響の一部を、別の種類のリスクに置き換える可能性がある。
臓器を温存する治療が現実のものになるのは、長期追跡によって、再発を早期に見つけられ、なおかつ生存が維持されることが示された場合だけだ。そうなれば、これらの腫瘍を持つ患者のより多くが、放射線療法や手術によってまず臓器の機能を失うことを避けられる可能性がある。それまでは、免疫療法は慎重に検査された少数のグループに対する新たな選択肢であり、従来の治療の連鎖が消えたことの証明ではない。